この記事のポイント
- ミックスローンは、一つの住宅の借入れを変動金利と固定金利などの2つに分けて借りる方法です。
- 4,000万円・35年の例では、全額固定の毎月130,462円に対し、5対5なら118,936円から始まります。
- 変動の割合を減らすほど、金利シナリオによる総額のぶれ幅は小さくなります(5対5で約825万円)。
- 割合は、備えておきたい上がり方でも毎月いくらまで払えるかから逆算して考えます。
ミックスローンとは:借入額を2つの金利タイプに分ける
ミックスローンは、一つの住宅の借入れを変動金利と固定金利などの2つに分けて借りる方法です。全国銀行協会のFPの回答では、変動金利と全期間固定を組み合わせた「金利ミックス型」について、すべて全期間固定で借りるより毎月の返済額が低く、変動金利のみで借りるより金利上昇のリスクを抑えられると説明し、借入額に対するそれぞれの割合をどうするかがポイントになるとしています。
計算例(4,000万円・35年)では、全額固定の毎月130,462円に対し、半分ずつに分けると118,936円から始まります。ただし、変動金利の部分が上がれば返済額も増えます。ここでは割合ごとの違いを、金利の上がり方を変えながら数字で確かめます。
計算の前提
計算例として、4,000万円を35年(420回)で借ります。固定金利の部分は1.9%で全期間一定、変動金利の部分は当初0.7%とします。変動金利の上がり方は次の3通りを仮定しました。いずれも説明用の数字で、予測ではありません。
- 据え置き:変動金利が0.7%のまま変わらない
- 緩やかに上昇:3年ごとに0.25ポイント上がり、3.0%で止まる
- 早めに上昇:1年ごとに0.5ポイント上がり、3.0%で止まる
変動金利の部分は、金利が変わるたびに残高と残り期間から返済額を計算し直す前提です。2本のローンの返済額と総額は、それぞれを計算して足し合わせました。
割合別の毎月の返済額と総額(緩やかに上昇する場合)
| 割合(固定:変動) | 当初の毎月返済額 | 最大の毎月返済額 | 総返済額 |
|---|---|---|---|
| 全額固定 | 130,462円 | 130,462円 | 54,793,468円 |
| 7:3 | 123,547円 | 131,271円 | 53,969,819円 |
| 5:5 | 118,936円 | 131,810円 | 53,421,083円 |
| 全額変動 | 107,409円 | 133,161円 | 52,049,291円 |
この上がり方では、変動の割合が大きいほど当初の返済額も総額も小さくなりますが、最大の毎月返済額は全額固定をわずかに上回ります。5対5の当初返済額は、全額固定と全額変動のちょうど中間あたり(どちらとも約1万1,500円差)です。
- 固定1.9%
- 変動0.7%から3年ごとに+0.25
全額固定(1.9%)と全額変動の2つの端を示しています。7対3・5対5の数字は本文の表を参照してください。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 固定1.9% | 変動0.7%から3年ごとに+0.25 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 130,462円 | 107,409円 |
| 5年目 | 130,462円 | 111,605円 |
| 10年目 | 130,462円 | 119,118円 |
| 15年目 | 130,462円 | 122,388円 |
| 20年目 | 130,462円 | 127,845円 |
| 25年目 | 130,462円 | 131,712円 |
| 30年目 | 130,462円 | 132,996円 |
| 35年目 | 130,462円 | 133,161円 |
| 総返済額 | 54,793,468円 | 52,049,291円 |
3つのシナリオで総額を並べると、割合の意味が見える
| 割合(固定:変動) | 据え置き | 緩やかに上昇 | 早めに上昇 |
|---|---|---|---|
| 全額固定 | 54,793,468円 | 54,793,468円 | 54,793,468円 |
| 7:3 | 51,888,426円 | 53,969,819円 | 56,835,671円 |
| 5:5 | 49,952,050円 | 53,421,083円 | 58,197,751円 |
| 全額変動 | 45,111,221円 | 52,049,291円 | 61,602,816円 |
全額変動は、金利が据え置きなら最も少なく、早めに上がれば最も多くなります。シナリオによる総額の幅は、全額変動で約1,649万円、5対5で約825万円、7対3で約495万円です。変動の割合を減らすほど、結果のぶれ幅が小さくなります。早めに上昇するシナリオでの最大の毎月返済額は、全額変動150,158円、5対5で140,310円、7対3で136,372円でした。
- 固定1.9%
- 変動0.7%から1年ごとに+0.5
変動金利は0.7%から1年ごとに0.5ポイント上がり、3.0%で止まると仮定。7対3・5対5の数字は本文の表を参照してください。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 固定1.9% | 変動0.7%から1年ごとに+0.5 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 130,462円 | 107,409円 |
| 5年目 | 130,462円 | 144,457円 |
| 10年目 | 130,462円 | 150,158円 |
| 15年目 | 130,462円 | 150,158円 |
| 20年目 | 130,462円 | 150,158円 |
| 25年目 | 130,462円 | 150,158円 |
| 30年目 | 130,462円 | 150,158円 |
| 35年目 | 130,462円 | 150,158円 |
| 総返済額 | 54,793,468円 | 61,602,816円 |
割合は「最大でいくらまで払えるか」から考える
全国銀行協会のFPの回答は、割合について無理のない返済可能額を基準にしながら検討するよう述べています。上の計算はその手がかりになります。例えば、毎月の返済が14万円を超えると家計が苦しいと考えるなら、早めに上昇するシナリオでも最大136,372円に収まる7対3は範囲内、140,310円の5対5はわずかに超えます。
こうした逆算は、どの上がり方を「備えておきたい最悪の例」と考えるかで答えが変わります。シナリオを一つに決めず、いくつか試したうえで、自分の家計で耐えられる範囲を確かめてください。将来の金利を正しく読むことはほぼ不可能だという同じ回答の指摘も、割合を考えるうえで参考になります。
2本に分けるときに確認したいこと
ミックスローンは契約が2本になるため、1本で借りる場合と比べて確認すべき点が増えます。
- 手数料や印紙税、登記の費用が契約ごとにかかるか
- 繰上返済をどちらのローンに充てられるか、手数料はどうか
- 変動金利の部分に5年ルール・125%ルールがあるか(ルールの解説)
- 団体信用生命保険の扱い
これらの取扱いは金融機関や商品によって異なります。【フラット35】のサイトでも、全期間固定金利の【フラット35】と固定金利期間選択型または変動金利型の住宅ローンを金融機関が一体で融資する商品が紹介されています。組合せの方法や条件は、検討先の金融機関に確認してください。全期間固定の考え方は全期間固定金利の解説にまとめています。
返済が進んだあとも割合は変わっていく
借りたときに5対5で分けても、2本のローンは金利が違うため、残高の減り方も違います。当初は金利の低い変動部分のほうが元金の減りが早く、時間がたつと、残高全体に占める固定部分の割合が少しずつ大きくなります。変動金利が上がってくると、今度は変動部分の元金の減りが遅くなります。
そのため、ミックスローンは借りたときの割合を一度決めたら終わりではありません。年に一度程度、2本それぞれの残高と金利を返済予定表で確認し、「いま変動部分の残高がいくらで、金利が1ポイント上がると毎月いくら増えるか」を計算し直しておくと、繰上返済をどちらに充てるかなど、次の判断がしやすくなります。手元資金に余裕ができたときに、金利の高い部分と変動の部分のどちらを先に減らすかは、家計の考え方次第です。
自分の割合でミックスローンを計算する
本サイトでミックスローンを試算するには、変動金利と固定金利の比較シミュレーションを2回使います。1回目は固定部分の金額を借入額に入れ、表示される固定金利の結果を使います。2回目は変動部分の金額を入れ、変動金利の結果を使います。2つの毎月返済額と総返済額を足せば、ミックスローン全体の数字になります。
返済中に変動部分だけ金利が上がった場合の毎月の増加額は、変動部分の残高を金利上昇シミュレーションに入れて確認できます。手元資金をどちらの部分に充てるかを比べたいときは、繰り上げ返済シミュレーションでそれぞれの残高と金利を入れて試してください。
参照した情報
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。