この記事のポイント
- 比べるべきは今の金利差ではなく、変動金利がどう上がると総額が逆転するかです。
- 3000万円・35年で固定金利2.0%の総支払額は41,738,779円です。
- 変動0.8%が5年ごとに0.25ポイント上がる例では、固定より4,516,612円少なくなります。
- この例では、5年ごとの上昇幅が0.5〜0.75ポイントの間で総支払額が逆転します。
比べるのは「今の金利差」ではなく「上がり方」
変動金利と固定金利を比べるとき、契約時点の金利差だけを見ると、変動金利のほうが毎月の返済額は小さく見えることが多いでしょう。けれども変動金利は返済中に見直されるため、本当に比べるべきなのは「この先どのくらいの幅で、どのくらいの頻度で上がったら、固定金利の総支払額に追いつくか」です。
将来の金利は誰にも分かりません。そこで、上がり方を自分で仮定し、いくつかのシナリオを並べて「どこで逆転するか」を確かめるのが現実的な比べ方です。
3000万円・35年の計算例
計算例として、借入額3000万円・35年(420回)、固定金利2.0%と、当初0.8%の変動金利を比べます。どちらの金利も説明用の仮の数字で、現在の金融機関の金利ではありません。
固定金利2.0%の月々の返済額は99,379円、総支払額は41,738,779円です。変動金利が5年ごとに0.25ポイントずつ上がり(上限4%)、そのつど残高と残り期間から返済額を計算し直すと仮定すると、月々の返済額は81,919円から始まり、31年目以降は92,916円になります。総支払額は37,222,167円で、このシナリオでは固定金利より4,516,612円少なくなります。
- 固定2%
- 変動0.8%から5年ごとに+0.25
変動金利の上限4%、金利が変わるたびに返済額を再計算する仮のシナリオです。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 固定2% | 変動0.8%から5年ごとに+0.25 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 99,379円 | 81,919円 |
| 5年目 | 99,379円 | 81,919円 |
| 10年目 | 99,379円 | 84,908円 |
| 15年目 | 99,379円 | 87,476円 |
| 20年目 | 99,379円 | 89,591円 |
| 25年目 | 99,379円 | 91,222円 |
| 30年目 | 99,379円 | 92,339円 |
| 35年目 | 99,379円 | 92,916円 |
| 総返済額 | 41,738,779円 | 37,222,167円 |
上昇幅を変えると、どこで逆転するか
同じ「5年ごと・上限4%」のまま、1回の上昇幅だけを変えた結果です。
| 1回の上昇幅 | 最終的な変動金利 | 最大の月々返済額 | 固定との差 |
|---|---|---|---|
| 0(据え置き) | 0.8% | 81,919円 | -7,333,403円 |
| 0.25ポイント | 2.3% | 92,916円 | -4,516,612円 |
| 0.5ポイント | 3.8% | 104,971円 | -1,491,059円 |
| 0.75ポイント | 4% | 113,047円 | +1,266,849円 |
| 1ポイント | 4% | 117,028円 | +3,160,510円 |
この例では、5年ごとに0.5ポイントと0.75ポイントの間で総支払額が逆転します。上がる時期が早いほど残高の多い時期に高い金利がかかるため、同じ最終金利でも総額は大きくなります。たとえば1年ごとに1ポイント上がって5年目に4%に達するシナリオでは、総支払額は53,236,632円となり、固定金利より11,497,853円多くなります。
- 固定2%
- 変動0.8%から5年ごとに+0.75
変動金利の上限4%の仮のシナリオです。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 固定2% | 変動0.8%から5年ごとに+0.75 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 99,379円 | 81,919円 |
| 5年目 | 99,379円 | 81,919円 |
| 10年目 | 99,379円 | 91,090円 |
| 15年目 | 99,379円 | 99,313円 |
| 20年目 | 99,379円 | 106,356円 |
| 25年目 | 99,379円 | 111,990円 |
| 30年目 | 99,379円 | 113,047円 |
| 35年目 | 99,379円 | 113,047円 |
| 総返済額 | 41,738,779円 | 43,005,628円 |
この比較に含まれないもの
計算は元利均等・毎月返済で、金利が変わるたびに返済額を計算し直します。実際の変動金利型ローンには、返済額を5年間据え置く、見直し後の返済額を前回の125%までにするといった取扱いがある場合があり、その場合は返済額の動き方や最終回の残り方が変わります。ツールの「返済額の見直し方法」で5年ルール・125%ルールありを選ぶと、その一般的な仕組みで計算し、未払利息の最大額と最終回に上乗せされる額も表示します。こうした取扱いがあるかどうかは商品ごとに異なります(5年ルール・125%ルールと試算の違い)。
保証料、事務手数料、団体信用生命保険の上乗せ金利、固定金利期間選択型の切り替えなども含みません。金融機関の提示条件で比べるときは、これらを別に確認してください。
自分の条件で逆転ラインを確かめる
変動金利と固定金利の比較シミュレーションでは、固定金利、変動金利の当初金利、上昇幅、上昇の間隔、上限を入れると、総支払額の差と上昇幅ごとの比較表が表示されます。いま変動金利で返済中なら、残高と残り期間を入れて金利上昇シミュレーションでも月々の増加額を確認できます。
どちらが有利かは、将来の金利と家計の余裕によって変わります。結果は特定の金利タイプを勧めるものではなく、上がり方の仮定ごとに負担の幅を見るための材料です。
参照した情報
- 三菱UFJ銀行:変動金利に関するお知らせ
- PayPay銀行:住宅ローンの5年ルール・125%ルールに関するFAQ
- 全国銀行協会:変動金利住宅ローンの未払利息とは?
- 全国銀行協会:住宅ローン新規借入れ返済シミュレーション
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。