この記事のポイント
- 変動から固定への借り換えで総額が減るのは、変動金利が大きく上がった場合
- 変動0.9%のままなら、固定1.9%へ借り換えないほうが総額は3,997,965円少ない
- 3年ごとに0.5%ずつ上がって4%で止まるシナリオでは、借り換えたほうが140,694円少ない
- 固定金利が0.4%違うだけで結論が入れ替わるため、提示金利で計算し直す
固定への借り換えで総額が減るのは、変動金利が大きく上がった場合
全期間固定金利は一般的に変動金利より高めに設定されている(全国銀行協会)ため、変動金利から固定金利への借り換えは「今より高い金利で、将来の金利上昇のリスクをなくす」選択になりがちです。総額で得をするかどうかは、借り換えなかった場合に変動金利がどこまで上がるかで決まります。
計算例として、残高2,500万円・残り25年のローンを、変動金利年0.9%から全期間固定年1.9%へ借り換え、諸費用を50万円とします(金利はいずれも仮定)。変動金利が0.9%のまま変わらなければ、借り換えないほうが総額は3,997,965円少なくなります。変動金利が3年ごとに0.5%ずつ上がって4%で止まるシナリオでは、借り換えたほうが140,694円少なくなりました。固定への借り換えは、変動金利がかなり速く上がる場合に初めて、総額でも固定のほうが少なくなる、という関係です。
シナリオ別の総額比較
同じ条件で、変動金利の上がり方をいくつか仮定して比べた結果です。返済額は金利が変わるたびに再計算する前提で、固定金利側には諸費用50万円を加えています。
| 変動金利のシナリオ(仮定) | 変動のままの総額 | 変動の最大月額 | 総額の差(変動−固定・諸費用込み) |
|---|---|---|---|
| 上がらない(0.9%のまま) | 27,927,030円 | 93,091円 | −3,997,965円 |
| 5年ごとに+0.25%(上限3%) | 28,971,859円 | 98,943円 | −2,953,136円 |
| 5年ごとに+0.5%(上限3%) | 30,054,371円 | 105,066円 | −1,870,624円 |
| 2年ごとに+0.25%(上限3%) | 31,126,272円 | 108,878円 | −798,723円 |
| 3年ごとに+0.5%(上限4%) | 32,065,689円 | 114,771円 | +140,694円 |
| 毎年+0.25%(上限3%) | 33,001,199円 | 113,747円 | +1,076,204円 |
固定1.9%へ借り換えた場合の総額は31,424,995円、毎月の返済額は104,751円で一定です(諸費用50万円を加えると31,924,995円)。差がマイナスなら変動のままのほうが少なく、プラスなら固定へ借り換えたほうが少ないことを示します。どのシナリオも予測ではなく、比較のための仮定です。
- 固定1.9%
- 変動0.9%から3年ごとに+0.5
変動は上限4%。固定側の総額に諸費用50万円は含みません。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 固定1.9% | 変動0.9%から3年ごとに+0.5 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 104,751円 | 93,091円 |
| 5年目 | 104,751円 | 98,142円 |
| 10年目 | 104,751円 | 106,638円 |
| 15年目 | 104,751円 | 109,971円 |
| 20年目 | 104,751円 | 114,544円 |
| 25年目 | 104,751円 | 114,771円 |
| 総返済額 | 31,424,995円 | 32,065,689円 |
固定金利で手に入るのは「返済額の確定」
全国銀行協会は、全期間固定金利型について、完済までの毎回の返済額が確定しているため返済計画が立てやすい一方、一般的に変動金利型より金利が高めに設定されていると説明しています。変動金利型は、通常半年ごとに金利が見直され、元利均等返済の場合は返済額が通常5年ごとに見直されるため、金利が大きく上がると利息の割合が増え、未払利息が発生する可能性もあるとしています。
つまり、固定への借り換えで払う「上乗せ」は、将来の返済額が変わらない安心の対価と考えることができます。上の例で、変動のままの総額が少なくなるシナリオでも、変動金利が上がれば毎月の返済額は増えていきます。総額だけでなく、毎月の返済額がどこまで上がっても家計が耐えられるかという視点も欠かせません。
毎月の最大返済額で比べる
表の「変動の最大月額」を見ると、5年ごとに0.25%ずつ上がるシナリオでは最大98,943円で、固定の104,751円を下回ります。一方、3年ごとに0.5%ずつ上がって4%で止まるシナリオでは、最大114,771円と固定より約1万円高くなります。
総額で変動のほうが少なくても、途中で毎月の返済額が予算を超える時期があれば、その間の家計のやりくりが問題になります。逆に、最大月額でも十分に払える見込みがあるなら、変動のままにしておく考え方もあります。どの程度の金利上昇まで耐えられるかは、金利上昇シミュレーションで毎月の返済額の増え方を確かめるとわかりやすくなります。
- 固定1.9%
- 変動0.9%から5年ごとに+0.25
変動は上限3%。固定側の総額に諸費用50万円は含みません。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 固定1.9% | 変動0.9%から5年ごとに+0.25 | |
|---|---|---|
| 1年目 | 104,751円 | 93,091円 |
| 5年目 | 104,751円 | 93,091円 |
| 10年目 | 104,751円 | 95,374円 |
| 15年目 | 104,751円 | 97,129円 |
| 20年目 | 104,751円 | 98,328円 |
| 25年目 | 104,751円 | 98,943円 |
| 総返済額 | 31,424,995円 | 28,971,859円 |
固定金利の水準で分かれ目は動く
損益の分かれ目は、変動金利の上がり方だけでなく、借り換え先の固定金利の水準によっても大きく動きます。同じ条件で、固定金利を年1.9%ではなく年1.5%(仮定)とすると、固定の毎月の返済額は99,985円、総額は29,994,974円です。
このとき、変動金利が5年ごとに0.25%ずつ上がるシナリオでは変動のままのほうが1,523,115円少なく、5年ごとに0.5%ずつでも440,603円少ない結果でした。一方、2年ごとに0.25%ずつ上がるシナリオでは、固定へ借り換えたほうが631,298円少なくなります(いずれも諸費用50万円込み)。固定1.9%のときは同じシナリオで変動のほうが798,723円少なかったので、固定金利が0.4%違うだけで結論が入れ替わったことになります。
借り換え先の固定金利は、申込みの時期や商品によって変わります。実際に提示された金利で計算し直すことが欠かせません。
5年ルール・125%ルールがある契約の場合
上の比較は、金利が変わるたびに返済額を計算し直す前提です。変動金利のローンには、返済額の見直しを5年ごとにし、見直し後の返済額を前回の125%までに抑えるルールがある商品もあります。この場合、毎月の返済額の上がり方は緩やかになりますが、利息が返済額を上回ると未払利息が生じ、最終回にまとめて払う必要が出ることもあります。
自分の契約にこのルールがあるかどうかは、契約書や返済予定表で確認してください。仕組みは返済額の見直しルールで説明しています。変動と固定の比較シミュレーションでは、見直し方法として「5年ルール・125%ルールあり」を選んで比べることもできます。
借り換えの前に確認すること
- 諸費用を含めた総費用:住宅金融支援機構は、借り換えを検討する際は総返済額や毎月の返済額だけでなく諸費用を含めた総費用を考慮するよう案内しています。
- 固定金利の決まる時期:借り換え先の金利が申込時と融資実行時のどちらで決まるかを確認します。【フラット35】借換融資では、申込時ではなく資金受取時の金利になると案内されています。
- 団体信用生命保険:前のローンの団信の保障は借り換えで終了し、新しいローンで団信に入るには改めて申込みが必要です(【フラット35】借換融資の場合)。
- 固定期間の長さ:全期間固定以外に、一定期間だけ固定する選択肢もあります。期間終了後の扱いは固定期間選択型の解説で確認できます。
自分のシナリオで変動と固定を比べる
変動と固定の比較シミュレーションに、借入額・ローン残高と残りの返済期間、借り換え先の固定金利、今の変動金利、想定する上昇幅・間隔・上限を入力してください。このツールは諸費用を含まないため、表示された総額の差から借り換えの諸費用を差し引いて判断します。諸費用込みの総額は借り換えシミュレーションでも、金利が一定の前提で確認できます。
参照した情報
- 全国銀行協会:変動で返す?固定で返す?住宅ローンの金利タイプ
- 全国銀行協会:変動金利住宅ローンの未払利息とは?
- 住宅金融支援機構:【フラット35】借換融資の検討
- 住宅金融支援機構:【フラット35】借換融資のご利用条件
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。