この記事のポイント
- 残高3,000万円・残り30年・1.2%なら、総額が減り始める金利差は諸費用60万円で0.12%
- 諸費用60万円で金利差0.2%なら総額401,057円減、0.3%なら894,954円減
- 損益分岐の金利差は諸費用にほぼ比例し、30万円ごとにおよそ0.06%ずつ増える
- 35年に延ばして借り換えると月15,978円下がるが、総額の減少は154,349円にとどまる
残高3,000万円なら0.1%台の金利差でも費用を上回りうる
残高が大きく残り期間が長いローンでは、わずかな金利差でも減る利息が大きくなるため、諸費用を上回る効果が出やすくなります。計算例として、残高3,000万円・残り30年・年1.2%(仮定)のローンを同じ期間で借り換える場合、総額が減り始める金利差は、諸費用30万円なら0.06%、60万円なら0.12%、90万円なら0.18%でした(0.001%刻みで計算)。
諸費用60万円で金利差0.2%なら総額は401,057円減り、0.3%なら894,954円減ります。ただし、これは借り換え後の金利がずっと続く前提です。損益の分かれ目が小さいということは、金利がわずかに動くだけで結論も変わりうるということでもあります。
損益分岐の金利差と、金利差別の効果
| 金利差 | 借り換え後の金利 | 月々の差 | 総額の差(費用込み) |
|---|---|---|---|
| 0.1% | 1.1% | −1,396円 | +97,197円 |
| 0.2% | 1.0% | −2,781円 | −401,057円 |
| 0.3% | 0.9% | −4,152円 | −894,954円 |
| 0.5% | 0.7% | −6,859円 | −1,869,237円 |
金利差0.1%では、月1,396円下がるものの、60万円の費用を取り戻せず総額は97,197円増えます。0.2%になると、総額の減少がはっきり現れます。損益分岐の金利差(諸費用30万円で0.06%、60万円で0.12%、90万円で0.18%)は、諸費用にほぼ比例して大きくなっています。この残高・期間なら、諸費用30万円ごとに必要な金利差がおよそ0.06%ずつ増える計算です。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 毎月の返済額 | 支払総額 | |
|---|---|---|
| 今のローンを継続 | 99,273円 | 35,737,908円 |
| 借り換え(諸費用込み) | 96,492円 | 35,336,851円 |
費用が借入額に比例する場合
全国銀行協会は、融資手数料は金融機関によって金額や徴収方法が異なり、保証料も保証会社によって金額が異なると説明しています。費用の一部が借入額に比例する方式なら、残高3,000万円では費用の額も大きくなります。
説明のために、仮に借入額の2.2%の手数料がかかるとすると、3,000万円では66万円です。金利差0.3%・費用66万円で計算すると、総額は834,954円減りました。費用60万円のときの894,954円減との差はちょうど6万円です。定額の費用と借入額に比例する費用では、残高が大きいほど比例型の負担が大きくなるため、見積りを比べるときは金利と費用の方式を組み合わせて見ることが大切です。
借り換え後に金利が上がったら
変動金利どうしの借り換えなら、借り換え後も金利は動きます。ここでは、今のローン(年1.2%)と借り換え後(年0.9%)の両方が同じように上がり、差の0.3%が保たれると仮定して比べました(上限はそれぞれ3.5%と3.2%)。
5年ごとに0.25%ずつ上がる場合、今のローンを続けた総額は37,761,442円、借り換え後は36,203,787円で、諸費用60万円を含めても957,655円少なくなりました。5年ごとに0.5%ずつ上がる場合は1,020,440円少なくなります。金利差が保たれる限り、金利が上がっても借り換えの効果は失われず、この例ではむしろ少し広がりました。
ただし、借り換え後の金利の引下げ幅が一定期間だけの条件なら、その期間が終わると差が縮みます。引下げ幅がいつまで続くかは、借り換え先の条件で必ず確認してください。仕組みは当初引下げと全期間引下げの違いで解説しています。
借り換えで期間を35年に延ばした場合
大きな残高のローンでは、借り換えのときに期間を延ばして月々を大きく下げたくなるかもしれません。残高3,000万円・残り30年・年1.2%(今の毎月の返済額99,273円)を、年0.9%・35年に借り換え、諸費用60万円とすると、毎月の返済額は83,295円で月15,978円下がります。一方、総額の減少は154,349円にとどまりました。
同じ30年のままなら総額は894,954円減るので、5年延ばしたことで減少幅の大半が消えた計算です。月々の減少のうち、金利の効果は4,152円分で、残りは返済を先に延ばした効果です。期間を延ばす場合は、完済時の年齢が上がることも含めて、金利の効果とは分けて判断してください。延長の計算は返済期間の延長でも扱っています。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。
グラフの数値を表で見る
| 毎月の返済額 | 支払総額 | |
|---|---|---|
| 今のローンを継続 | 99,273円 | 35,737,908円 |
| 借り換え(諸費用込み) | 83,295円 | 35,583,559円 |
大きな残高で確認しておきたいこと
- 印紙税:国税庁の一覧表(令和8年4月1日現在法令等)では、契約金額が1千万円を超え5千万円以下の消費貸借契約書は2万円です。
- 借入額の上限と担保評価:【フラット35】借換融資では、借入額は100万円以上1億2,000万円以下で、借り換える住宅ローンの残高か、機構による担保評価額の200%のいずれか低い額までとされています。
- 返済負担率:借り換えにも審査があり、【フラット35】借換融資では年収に占める年間合計返済額の割合(総返済負担率)の基準が示されています。詳しくは借り換えの条件と審査へ。
- 諸費用を含めた総費用:住宅金融支援機構は、総返済額や毎月の返済額だけでなく、諸費用を含めた総費用で検討するよう案内しています。
月々の差と総額の差を両方見る
残高3,000万円・残り30年では、金利差0.3%で月4,152円、0.5%で月6,859円の減少です。月々の差は数千円でも、残りの回数が360回と多いため、総額では大きな違いになります。逆に、月々の差だけを見て「数千円なら手間に見合わない」と判断すると、総額で見た効果を見落とすことがあります。金利差0.3%の月4,152円は、残り360回で約150万円になり、そこから諸費用を引いた結果が総額の差です。
反対に、残りの期間が短くなるほど同じ月々の差でも総額の効果は小さくなります。残高や期間の違いによる変化は、借り換えの目安の検証の表でも比べられます。
自分の費用で損益分岐を確かめる
借り換えシミュレーションに、現在の残高・残り期間・金利と諸費用の見積額を入れ、借り換え後の金利を少しずつ変えて、総額の差がプラスからマイナスに変わる金利を探してください。それが自分の条件での損益分岐です。金利が上がった場合の比較は、変動と固定の比較シミュレーションで上昇シナリオを置いて確認できます。
参照した情報
- 全国銀行協会:住宅ローンの諸費用
- 国税庁:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
- 住宅金融支援機構:【フラット35】借換融資のご利用条件
- 住宅金融支援機構:【フラット35】借換融資の検討
- 三菱UFJ銀行:住宅ローンの基準金利・適用金利の説明
本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。