金利上昇への備え

変動金利はどこまで上がる?上限を決めずに複数の水準で試す方法

変動金利がどこまで上がるかは誰にも分かりません。上限を一つに決めつけず、複数の水準で総額と最大の返済額を比べる方法と、払える返済額から耐えられる金利を逆算する方法を、計算例で解説します。

この記事のポイント

  • 変動金利がどこまで上がるかは分からないため、上限を一つに決めずに複数の水準で試します。
  • 3,500万円・35年・当初0.7%の例では、上限を2%と見るか5%と見るかで総額に約1,151万円の差が出ます。
  • 残高3,000万円・残り30年で毎月11万円が限界なら、収まる金利の目安は1.940%です。
  • 過去の指標の動きは参考にとどめ、将来の上限の根拠にはしないようにします。

「どこまで上がるか」に答えはない。だから複数の水準で試す

変動金利がどこまで上がるかを、前もって知る方法はありません。全国銀行協会のFPの回答も、将来の金利の動向を正しく読むことができればどちらが有利か判断できるものの、それはほぼ不可能だとしています。同協会の解説では、変動金利型は金利の変動によって将来の返済額が変わる可能性があり、借りた時点では返済総額がいくらになるか分からないと説明されています。

そこで現実的なのは、上限を一つに決めつけず、いくつかの水準で計算して「この水準ならこうなる」という幅を知っておくことです。計算例(3,500万円・35年)では、上限を2%と見るか5%と見るかで、総返済額に約1,151万円の違いが出ます。

計算例:上限の水準を変えて総額と最大返済額を比べる

計算例として、3,500万円を35年(420回)・当初0.7%の変動金利で借り、毎年0.25ポイントずつ上がって、ある水準で止まると仮定します。止まる水準(上限)だけを変えて比べました。どの水準も説明用の仮定で、予測ではありません。

3,500万円・420回、0.7%から毎年0.25ポイント上昇、金利が変わるたびに返済額を再計算
上限の水準当初の毎月返済額最大の毎月返済額総返済額
0.7%のまま93,983円93,983円39,472,273円
1.5%93,983円106,379円44,363,386円
2%93,983円114,003円47,135,931円
3%93,983円128,717円51,960,156円
4%93,983円142,406円55,793,037円
5%93,983円154,713円58,649,987円

上限が1ポイント上がるごとに、最大の返済額は1万2千〜1万5千円程度ずつ、総額は数百万円ずつ増えています。

3,500万円・35年:毎年+0.25ポイント・上限5%
3,500万円・35年:毎年+0.25ポイント・上限5%横軸は経過年数、縦軸は毎月の返済額。総返済額は固定3,947万円、変動シナリオ5,865万円。0万5万10万15万20万0年18年35年
  • 金利0.7%のまま
  • 1年ごとに+0.25(上限5%)

0.7%から毎年0.25ポイント上がり5%で止まると仮定。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,500万円・35年:毎年+0.25ポイント・上限5%
金利0.7%のまま1年ごとに+0.25(上限5%)
1年目93,983円93,983円
5年目93,983円109,454円
10年目93,983円128,012円
15年目93,983円145,000円
20年目93,983円154,713円
25年目93,983円154,713円
30年目93,983円154,713円
35年目93,983円154,713円
総返済額39,472,273円58,649,987円

表の読み方:最大の返済額と総額を別々に見る

表の「最大の毎月返済額」は、家計が耐えられるかを見るための数字です。「総返済額」は、全期間でどれだけ払うかを見る数字です。上限2%でも、金利が変わらない場合より総額は7,663,658円多くなります。上限5%では、2%の場合よりさらに11,514,056円多くなります。

毎年0.25ポイントという上がり方も仮定の一つです。上がる時期が早いほど、残高が多い時期に高い金利がかかるため総額は大きくなり、遅いほど小さくなります。上限と上がり方の両方を変えて試すと、自分にとって厳しいシナリオがどれかが見えてきます。一度に大きく上がった場合の返済額は金利が2%・3%になった場合の試算で確認できます。

払える返済額から「耐えられる金利」を逆算する

上限を外から決める代わりに、家計の側から考える方法もあります。毎月いくらまでなら返済を続けられるかを決め、その返済額に収まる金利の上限を求めるのです。

残高3,000万円・残り30年(360回)の場合(現在0.7%なら毎月92,414円)
毎月の返済額の上限収まる金利の上限(目安)その金利での返済額
11万円1.940%109,988円
13万円3.215%129,987円
15万円4.387%149,998円

金利を0.001%刻みで上げながら、返済額が上限を超える直前の金利を探しました。毎月11万円が限界なら、今の0.7%から約1.2ポイントの上昇までが家計で対応できる範囲ということになります。この「自分の耐えられる金利」と、上の表の水準を見比べると、備えが必要かどうかを判断しやすくなります。

残高3,000万円・残り30年の毎月の返済額(金利別)
  1. 0.7%(現在)92,414円
  2. 1.940%109,988円
  3. 3.215%129,987円
  4. 4.387%149,998円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
残高3,000万円・残り30年の毎月の返済額(金利別)
条件毎月の返済額総返済額利息の合計
0.7%(現在)92,414円33,268,671円3,268,671円
1.940%109,988円39,595,381円9,595,381円
3.215%129,987円46,794,600円16,794,600円
4.387%149,998円53,998,910円23,998,910円

過去の指標の動きを参考にするときの注意

試す水準を選ぶ参考に、過去の指標を見る方法があります。日本銀行の統計(2001年以降)では、主要行の短期プライムレート(最頻値)は1.375%から2.375%の範囲で推移し、2009年1月から2024年9月までは1.475%で変わらなかった一方、その後約2年で2.375%まで上がりました(短期プライムレートの解説)。

ただし、過去の範囲は将来の上限を示すものではありません。また、短期プライムレートは住宅ローンの適用金利ではなく、実際の金利は各金融機関の基準金利から優遇幅を差し引いて決まります。過去の動きは「このくらいの期間でこのくらい動いたことがある」という感覚をつかむために使い、上限の根拠にはしないでください。

耐えられる金利に近づいたときの選択肢

計算の結果、比較的小さな上昇で家計の上限に届くと分かった場合は、早めに選択肢を考えておくと落ち着いて判断できます。

  • 固定金利への切り替え:返済額の上限を決める方法です。比べ方は変動金利から固定金利への切り替えで説明しています。
  • 繰上返済:残高を減らせば、同じ金利でも返済額は小さくなります。手元資金とのバランスが大切です。
  • 家計の見直し:返済に回せる上限そのものを引き上げる方法です。

どの方法が合うかは、手元資金、残り期間、家族の予定によって違います。いずれも費用や条件があるため、借入先の金融機関に確認したうえで比べてください。

5年ルールがある契約では「上限」の効き方が変わる

上の計算は、金利が変わるたびに返済額を計算し直す前提です。元利均等返済で5年ルール・125%ルールがある契約では、金利が上がっても返済額は通常5年ごとにしか見直されず、増加は前回の125%までに抑えられるのが一般的とされています。金利が大きく上がると、利息が返済額を上回って未払利息が生じる可能性もあります。

この場合、毎月の引落額は上の表の「最大の毎月返済額」より低く抑えられる時期がある一方で、元金の返済が遅れ、後の返済額や総額が大きくなることがあります。ツールの「返済額の見直し方法」で5年ルール・125%ルールありを選ぶと、同じ上限の水準で返済額の動き方がどう変わるか、未払利息がどこまで増えるかを確かめられます。自分の契約にルールがあるかは、返済予定表や契約書で確認してください。

複数の上限で自分のローンを試算する

変動金利と固定金利の比較シミュレーションに、借入額(ローン残高)、返済期間(残り期間)、変動金利の当初金利、1回の上昇幅、上昇の間隔を入れ、「変動金利の上限」を2%、3%、4%と変えて計算すると、上の表と同じ比較が自分の条件でできます。上昇幅ごとの比較表も表示されます。

今の残高で、ある金利になったときの返済額をすぐに知りたい場合は金利上昇シミュレーションを使い、毎月の予算を入れておくと予算との差も分かります。どの結果も将来の金利を予測するものではなく、特定の金利タイプを勧めるものでもありません。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。