団信と保険

フラット35の団信(新機構団信):仕組みと選択肢

【フラット35】の新機構団体信用生命保険制度の仕組み、新3大疾病付との違い、加入しない場合の金利やペアローンの扱いを公式情報で整理。夫婦2人の借入れを例に保障の範囲を計算します。

この記事のポイント

  • フラット35の団信は新機構団信と新3大疾病付機構団信の2種類で、加入しない選択もできます。
  • 借入金利は借入期間・融資率・加入する団信の種類などで異なり、資金受取時の金利が適用されます。
  • ペアローンでは団信も別々で、一方の債務が精算されても、もう一方は返済を続けます。
  • 途中から加入できるのは相続・債務引受・80歳を迎えた場合の3つに限られます。

フラット35の団信は2種類:新機構団信と新3大疾病付機構団信

【フラット35】の団信(新機構団体信用生命保険制度)には、新機構団信と新3大疾病付機構団信の2つがあります。どちらも、加入者が死亡・所定の身体障害状態になった場合などに、住宅の持分や返済割合などにかかわらず、以後の【フラット35】の債務の返済が不要になる生命保険です。

新3大疾病付機構団信は、それに加えて3大疾病が原因で一定の要件に該当した場合と、公的介護保険制度に定める要介護2から要介護5までのいずれかの状態になった場合なども対象になります。「一定の要件」の詳細は、機構が公開している加入要件・保障内容の資料と約款で確認してください。

契約者は機構、保険金はローンの返済へ

新機構団信の仕組みでは、住宅金融支援機構が保険契約者・保険金受取人となり、団信の加入者が被保険者になります。支払われた保険金(死亡保険金、身体障害保険金、3大疾病保険金、介護保険金)は、【フラット35】の債務の返済に充てられます。

このため、保険金を家族が受け取って自由に使うのではなく、ローンが精算されて以後の返済がなくなる形で効果が現れます。精算される金額はその時点のローン残高で、返済が進むほど小さくなります。残高の推移の例は団信とはで計算しています。

団信の種類で借入金利が変わる/加入しない選択もできる

【フラット35】のご利用条件(2026年4月1日現在)では、借入金利は全期間固定で、借入期間(20年以下・21年以上)、融資率(9割以下・9割超)、加入する団信の種類などに応じて異なるとされています。また、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合も【フラット35】を利用でき、その場合の借入金利は別に案内されています。

【フラット35】の借入金利を変える主な要素(ご利用条件より)
要素区分
借入期間20年以下・21年以上
融資率9割以下・9割超
団信加入する団信の種類など(加入しない場合を含む)
取扱金融機関借入金利は取扱金融機関により異なる

金利は申込時ではなく資金受取時のものが適用されます。実際の金利の差は、取扱金融機関の金利情報で確認してください。団信の種類による金利の違いは、借入期間や融資率による違いと同時に効いてくるので、比べるときはほかの条件をそろえたうえで団信の種類だけを変えて見比べるのが分かりやすい方法です。

夫婦2人で借りる例:ペアローンでは自分の分だけ精算される

【フラット35】のペアローンでは、2つの融資それぞれについて別々に団信の加入申込みが必要です。一方に万一のことがあった場合、その人の【フラット35】の返済は不要になりますが、もう一方は自分の債務の返済を続ける必要があります。計算例として、夫2,000万円・妻1,500万円をそれぞれ35年・年1.9%(仮の値)で借りた場合を見ます。

夫2,000万円・妻1,500万円、35年・年1.9%のペアローン(仮の条件)
項目夫の借入れ妻の借入れ
毎月の返済額65,231円48,924円
10年後の残高15,568,003円11,675,882円
10年後に夫に団信の事由が生じた場合以後の返済は不要毎月48,924円の返済が続く

2人合わせた毎月の返済額は114,155円で、3,500万円を1つのローンで借りた場合(114,154円)とほぼ同じです。違いは、万一のときにどちらの債務が残るかにあります。

この例で10年後に夫に団信の事由が生じると、夫の残高15,568,003円は精算されますが、妻の残高11,675,882円は残り、毎月48,924円の返済が続きます。世帯の収入が減る中で返済を続けられるかどうかも、借り方を選ぶときに確かめておきたい点です。

ペアローンの年末残高(夫2,000万円・妻1,500万円、35年・1.9%)
ペアローンの年末残高(夫2,000万円・妻1,500万円、35年・1.9%)横軸は経過年数、縦軸は年末のローン残高。夫2,000万円、妻1,500万円。0500万1,000万1,500万2,000万0年10年20年30年35年
  • 夫2,000万円
  • 妻1,500万円

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
ペアローンの年末残高(夫2,000万円・妻1,500万円、35年・1.9%)
経過夫2,000万円妻1,500万円
0年後20,000,000円15,000,000円
5年後17,889,096円13,416,768円
10年後15,568,003円11,675,882円
15年後13,015,779円9,761,648円
20年後10,209,416円7,656,803円
25年後7,123,606円5,342,368円
30年後3,730,524円2,797,464円
35年後0円0円

連帯債務・親子リレーで借りる場合

ペア連生団信は、2つの融資のうち夫婦等を連帯債務とする申込みがある場合に限って加入申込みができます。【フラット35】の収入合算では、収入を合算する人は連帯債務者になることが要件の一つです。申込みができるのは連帯債務者を含めて2名までとされています。

親子リレー返済の後継者も連帯債務者になる人です。連帯債務で借りる場合にどの団信に誰が加入できるかは、申込みの前に取扱金融機関で確認してください。借り方による返済責任の違いは連帯債務・連帯保証・ペアローンで整理しています。

万一のときの手続きと問い合わせ先

機構は、新機構団信制度について、債務弁済(保険金請求)手続の案内と、債務弁済充当(委託)約款(令和5年10月2日現在)を公開しています。保障される状態の細かな条件や請求の手順は、これらの資料で確認できます。団信に関する問い合わせには団信専用ダイヤルが設けられています。

【フラット35】の返済中の案内では、毎月の返済や各種の手続きについて取扱金融機関が窓口になるとされており、家族が返済中の金融機関に連絡する必要がある場面も案内されています。どの金融機関で借りているか、契約書や返済予定表がどこにあるかを家族と共有しておくと、いざというときに手続きを始めやすくなります。

途中加入できるのは3つの場合だけ

機構の案内では、新機構団信に途中から加入できるのは次の3つの場合に限られています。

  • 契約者本人が亡くなり、相続する場合
  • 債務引受(支払者の変更)をする場合
  • 契約者本人が80歳を迎え、連帯債務者として加入したい場合

つまり、借入れの時点で加入しなかった人が、後から思い立って加入することは原則としてできません。新築住宅購入の手続でも、借入れの申込みと同時に団信の加入申込みを行い、加入する団信の種類などを申込時に選ぶ流れになっています。健康状態などで加入できるかどうかに不安がある場合も、申込みの前に取扱金融機関に相談しておくと手続きが進めやすくなります。

固定金利の返済額を試算して比べる

【フラット35】は全期間固定金利なので、資金受取時の金利で返済額が決まれば、その後の返済額は変わりません。団信の種類による金利の違いが総額にどう効くかは、金利上昇シミュレーションに2つの金利を入れると確かめられます。変動金利の候補と並べて考えるなら、変動金利と固定金利の比較で、固定金利に団信を含めた金利を入れ、変動金利の上昇シナリオと比べてください。金利の推移の調べ方はフラット35の金利推移にまとめています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。