団信と保険

住宅ローンと火災保険:融資条件で求められる内容と確認事項

住宅ローンの融資条件として火災保険への加入が求められる内容を、【フラット35】の要件(保険期間・補償対象・保険金額・質権設定)で整理。地震保険との違いや保険料の準備も確認します。

この記事のポイント

  • フラット35では返済終了まで火災保険への加入が必要で、保険金額は借入額以上が条件です。
  • ローン残高は返済とともに減りますが、保険金額は借入額を基準にした条件で自動的には下がりません。
  • 地震保険は火災保険とは別の保険で、フラット35では加入は任意です。
  • 保険料は返済額とは別の費用で、まとめて払うか毎年払うかで最初に必要な現金が変わります。

住宅ローンで火災保険は必要?フラット35では返済終了まで加入が条件

【フラット35】のご利用条件(2026年4月1日現在)では、返済終了までの間、借入対象となる住宅について火災保険(損害保険会社等の火災保険または法律の規定による火災共済)に加入することが求められています。建物の火災による損害を補償対象とすること、保険金額を借入額以上とすることなども条件です。

住宅ローンでは、借入対象の住宅と敷地に抵当権が設定されます。担保になっている建物が火災で失われると、借りたお金の返済は残る一方で住まいを失うことになるため、融資の条件として火災保険が組み込まれていると考えると分かりやすいでしょう。民間の住宅ローンで火災保険がどう求められるかは、金融機関の融資条件で確認してください。

フラット35の火災保険の要件を一覧で確認

【フラット35】ご利用条件の火災保険に関する要件(2026年4月1日現在)
項目内容
加入期間返済終了までの間
加入する保険損害保険会社等の火災保険または法律の規定による火災共済
補償対象建物の火災による損害
保険金額借入額以上(借入額が損害保険会社等の評価額を超える場合は評価額)
保険期間・払込方法取扱金融機関により異なる
質権設定取扱金融機関によっては火災保険金請求権への質権設定が必要
保険料利用者の負担
地震保険加入は任意

火災保険に関する要件は、申込みをする取扱金融機関に確認するよう案内されています。

保険金額「借入額以上」を数字で考える

計算例として、借入額3,000万円・35年・年1.0%(仮の値)で借りる場合、【フラット35】の条件では保険金額は3,000万円以上が基準になります(損害保険会社等が算出する評価額が借入額より低い場合は評価額)。一方、ローンの残高は返済とともに減っていきます。

借入額3,000万円・35年・年1.0%の残高の推移
時点ローン残高
借入時30,000,000円
10年後22,470,554円
20年後14,149,581円
30年後4,953,867円

毎月の返済額は84,686円です。保険金額は「借入額」を基準にした条件なので、残高が減っても自動的に保険金額が下がるわけではありません。火災保険は本来、建物の損害を補償するための保険なので、保険金額をどう設定するかは保険会社の評価と、建て直しや修理に必要な金額の両面から確認します。

3,000万円・35年・年1.0%の年末残高(保険金額の基準は借入額)
3,000万円・35年・年1.0%の年末残高(保険金額の基準は借入額)横軸は経過年数、縦軸は年末のローン残高。3,000万円・35年・年1.0%。0750万1,500万2,250万3,000万0年10年20年30年35年

元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,000万円・35年・年1.0%の年末残高(保険金額の基準は借入額)
経過3,000万円・35年・年1.0%
0年後30,000,000円
5年後26,329,333円
10年後22,470,554円
15年後18,414,014円
20年後14,149,581円
25年後9,666,599円
30年後4,953,867円
35年後0円

地震保険は別の保険:火災保険では補償されない損害

【フラット35】の手続の案内では、火災保険とは別に、地震・噴火・津波による災害で発生した住宅・家財の損失を補償する「地震保険」があると説明されています。【フラット35】の利用にあたって火災保険への加入は必須ですが、地震保険への加入は任意です。

全国銀行協会の諸費用の解説では、地震保険の保険料は住む地域や住宅の構造などによって異なるとされています。地震保険に加入するかどうかは、住宅の立地や構造、家計の備えを踏まえた判断になります。見積りを取るときは、火災保険と地震保険の保険料を分けて記載してもらうと比較しやすくなります。

地震保険を付けない場合でも、住宅ローンの返済は建物の状態にかかわらず続きます。地震などで住まいが損なわれたときに、返済と住まいの再建を同時に負担できるかという視点で、備えの方法を考えておくことが大切です。

保険料は諸費用:まとめて払うか、毎年払うか

火災保険料は、選択する商品や保険会社によって異なります(全国銀行協会)。【フラット35】では保険期間と保険料の払込方法は取扱金融機関により異なるとされ、借入時に長い期間の保険料をまとめて払う方法か、毎年払う方法かで、最初に必要な現金が大きく変わります。

どちらの場合も、保険料は住宅ローンの毎月の返済額とは別に払う費用です。返済額だけを見て資金計画を立てると、保険料の分だけ不足することがあります。まとめて払う方法は最初の負担が大きく、毎年払う方法は返済終了までの間、毎年の家計に保険料の支払いが加わります。どちらの払い方でも、更新や保険料の改定で金額が変わる可能性がある点は、見積りの説明で確認してください。購入時の諸費用の全体は住宅ローンの諸費用一覧、必要な現金の計算は住宅購入で必要な現金で整理しています。

質権設定と、返済中の手続き

取扱金融機関によっては、火災保険金請求権への質権設定が必要な場合があります。質権が設定されていると、保険金の受取りや保険契約の変更に金融機関が関わることになるため、契約時に手続きの流れを確認しておくと、万一のときに慌てずに済みます。

返済の途中で保険期間が満了する場合の更新、保険会社の変更、建物の増改築による補償内容の見直しなども、返済終了まで加入が条件になっている以上、確認が必要な手続きです。【フラット35】の返済中の手続きは取扱金融機関が窓口になるとされているので、まず返済中の金融機関に問い合わせます。保険会社への連絡と金融機関への連絡の両方が必要になる場面もあるため、保険証券と住宅ローンの契約書類は同じ場所に保管しておくと、手続きのときに探す手間が省けます。

火災保険と団信は何が違う?2つの保険の役割

住宅ローンに関係する保険としてよく並べられる火災保険と団信は、守る対象がまったく違います。団信は、借りている人に万一のことがあったときに、保険金でローンの残高を精算する保険です。火災保険は、建物が火災などで損害を受けたときに、その損害を補償する保険です。

つまり、団信に入っていても建物の損害は補償されず、火災保険に入っていても借りている人の万一には備えられません。全国銀行協会の諸費用の解説でも、団体信用生命保険料、火災保険料、地震保険料はそれぞれ別の保険料として挙げられています。団信の仕組みは団信とはで解説しています。

契約前の確認リストと、残高の確かめ方

  • 火災保険の加入が融資の条件か、条件ならその内容(期間・補償対象・保険金額)
  • 保険期間と保険料の払込方法、最初に払う金額
  • 質権設定の有無と、保険金を受け取るときの手続き
  • 地震保険を付けるかどうかと、その保険料

借入額と残高の推移は、金利上昇シミュレーションに借入額・返済期間・金利を入れ、年別の返済表で確認できます。手続き全体の中で保険の加入がどの段階に来るかは事前審査から融資実行までの流れを参照してください。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。