税と控除

住宅ローン控除の所得要件:合計所得金額の上限

住宅ローン控除は、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下(40㎡台の住宅は1,000万円以下)であることが要件です。年ごとの判定の意味と、超えた年に失う控除額を5000万円の例で確認します。

この記事のポイント

  • 所得要件は控除を受ける年分の合計所得金額2,000万円以下で、40㎡台の住宅は1,000万円以下です。
  • 判定は入居した年だけでなく、控除を受ける年ごとに行われます。
  • 上限を超えた年はその年の控除がなく、控除期間が後ろに延びることもありません。
  • 5000万円の認定住宅の例では、3年目に上限を超えると315,000円を失い、合計は3,411,300円になります。

上限は合計所得金額2,000万円。40㎡台の住宅は1,000万円

住宅ローン控除の所得要件は、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であることです。床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅(特例居住用家屋・特例認定住宅等・特例既存住宅)で控除を受ける場合は、1,000万円以下に下がります(国税庁 No.1211-1・No.1211-3、令和8年4月1日現在法令等)。

この判定は入居した年だけでなく、控除を受ける年ごとに行われます。計算例として、2026年4月に5000万円・35年・金利1%で新築の認定住宅に入居した場合、毎年の控除額は1〜4年目が315,000円で、13年間の合計は3,726,300円です。仮に3年目の合計所得金額だけが上限を超えると、その年の315,000円は控除されず、合計は3,411,300円になります。

「合計所得金額」は年収とは別の数字

所得要件で使うのは「合計所得金額」で、給与の額面(年収)とは別の数字です。どの所得が含まれ、どう計算するかは国税庁の説明で確認してください。

大切なのは、ふだんは上限を大きく下回る人でも、一時的に所得が増える年には判定が変わりうることです。たとえば不動産を売却した年などは、合計所得金額が大きく変わる場合があります。毎年の手続きの前に、その年の所得の見込みを確かめておくと安心です。

超えた年は控除なし。控除期間は後ろに延びない

合計所得金額が上限を超えた年分は、その年の住宅ローン控除を受けられません。翌年に上限以下へ戻れば、要件を満たす限り控除を受けられますが、控除を受けられる期間は居住した年から数えるため、受けられなかった年の分が最後に延長されるわけではありません(国税庁 No.1233 でも、控除を受けられる年数は居住した年から一定期間と説明しています)。

2026年4月入居・新築の認定住宅・5000万円・35年・金利1%(特例対象個人に当たらない場合)
年年末残高控除額(その年に超えると失う額)
1年目(2026年)49,201,859円315,000円
3年目(2028年)46,775,276円315,000円
5年目(2030年)44,299,697円310,000円
10年目(2035年)37,889,830円265,200円
13年目(2038年)33,887,289円237,200円

控除額が大きい前半ほど、1年分を失う影響も大きくなります。ただし、実際に失う税額は、その年の所得税額と住民税の上限の範囲で控除できたはずの額です。また、所得税で控除を受けられない年は「所得税から引ききれなかった額」も生じないため、その年分に対応する翌年度の住民税からの控除もありません。

認定住宅・5000万円の年ごとの控除額
  1. 2026年315,000円
  2. 2027年315,000円
  3. 2028年315,000円
  4. 2029年315,000円
  5. 2030年310,000円
  6. 2031年301,300円
  7. 2032年292,400円
  8. 2033年283,400円
  9. 2034年274,300円
  10. 2035年265,200円
  11. 2036年255,900円
  12. 2037年246,600円
  13. 2038年237,200円

2026年4月入居・新築・35年・金利1%・元利均等。合計所得金額が上限を超えた年は、その年の額が控除されません。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
認定住宅・5000万円の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年49,201,859円315,000円
2027年47,994,630円315,000円
2028年46,775,276円315,000円
2029年45,543,672円315,000円
2030年44,299,697円310,000円
2031年43,043,224円301,300円
2032年41,774,127円292,400円
2033年40,492,280円283,400円
2034年39,197,558円274,300円
2035年37,889,830円265,200円
2036年36,568,964円255,900円
2037年35,234,828円246,600円
2038年33,887,289円237,200円

住宅に関するほかの特例の所得要件と比べる

住宅取得にかかわる税の特例には、それぞれ別の所得要件があります。

主な住宅関連の特例の所得要件(国税庁・国土交通省の説明をもとに整理)
特例所得要件
住宅ローン控除(50㎡以上)控除を受ける年分の合計所得金額2,000万円以下
住宅ローン控除(40㎡以上50㎡未満)同1,000万円以下
住宅取得等資金の贈与税の非課税贈与を受けた年の合計所得金額2,000万円以下(40㎡以上50㎡未満は1,000万円以下)
住宅取得等資金の相続時精算課税選択の特例所得要件なし
認定住宅等の投資型減税合計所得金額2,000万円以下(住宅ローン控除との併用は不可)

贈与税の非課税は贈与を受けた年の所得で判定するため、住宅ローン控除とは判定する年が異なる場合があります。贈与については住宅取得等資金の贈与税の非課税で説明しています。

共働きなら所得要件は1人ずつ。上限に近い人は余裕を見ておく

夫婦がそれぞれ住宅ローン控除を受ける場合、所得要件は1人ずつ判定されます。たとえばペアローンで夫3000万円・妻2000万円(2026年入居のZEH水準省エネ住宅・35年・金利0.9%)を借りた場合、夫の合計所得金額がある年に上限を超えても、妻の控除(1年目なら137,700円)は妻自身の所得で判定されます。反対に、世帯の合計所得が大きくても、1人ひとりが上限以下なら、それぞれ控除を受けられます。

40㎡台の住宅では上限が1,000万円になるため、入居時には上限を下回っていても、昇給などで将来上限を超える可能性がある人もいます。上限を超えた年はその年の控除がなくなるため、40㎡台か50㎡以上かで迷っている場合は、今後の所得の見通しも含めて比べておくと安心です。床面積との関係は床面積要件の解説で詳しく説明しています。

入居前に確かめておきたい3つのこと

  1. 今年と来年以降の合計所得金額の見込み:源泉徴収票や確定申告書の控えで、今の水準が上限からどれくらい離れているかを確認します。
  2. 住宅の床面積:40㎡台なら上限は1,000万円です。登記上の床面積で判断される点に注意します。
  3. 夫婦のどちらが控除を受けるか:単独で借りるか、ペアローンや連帯債務にするかで、所得要件を判定する人が変わります。

所得要件は住宅ローン控除の入口の条件であると同時に、13年間ずっと続く条件です。借入れの名義や持分を決める前に、2人の所得の見通しを並べておくと、後から「この年は控除が受けられなかった」という事態を避けやすくなります。

所得以外にも、年や時期で判定される要件がある

  • 年末の居住:控除を受ける年の12月31日まで住み続けていること。
  • 譲渡所得の特例との関係:居住年とその前2年・後3年の計6年間に、居住用財産の譲渡所得の特別控除などの一定の譲渡所得の特例を受けていないこと。前の住まいを売るときは、どの特例を使うかで住宅ローン控除に影響します。
  • 主として住む住宅:2つ以上の住宅を持つ場合は、主として住んでいる住宅であること。

前の住まいの売却と住宅ローン控除の関係は判断が難しいため、売却前に税務署に相談するのが確実です。共働きで夫婦それぞれが控除を受ける場合は、合計所得金額も1人ずつ判定します(ペアローンの住宅ローン控除)。

所得の変化を前提に試算する

住宅ローン控除シミュレーションは所得要件を判定しません。上限を超える年がありそうな場合は、結果の表からその年の控除額を除いて合計を考えてください。毎年の所得税額を入れると、所得税から控除できる額も分かります。

控除額の計算方法は住宅ローン控除の計算方法、40㎡台の住宅の条件は床面積要件の解説で詳しく説明しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。