税と控除

住宅ローン控除の初年度は確定申告:流れと必要書類

住宅ローン控除の最初の年は、会社員でも確定申告が必要です。申告までの流れ、添付する書類、入居した月で1年目の控除額がどう変わるかを3500万円の計算例で確認します。

この記事のポイント

  • 初年度は会社員でも確定申告が必要で、年末調整で控除を受けられるのは2年目以後の年分です。
  • 3500万円・35年・金利1%で3月に入居したZEH水準省エネ住宅なら、1年目の控除額の目安は240,500円です。
  • 入居月による1年目の控除額の差は数千円程度で、年の途中に入居しても1年目から控除の対象です。
  • 所得税で引ききれない額は、課税総所得金額等の5%(97,500円まで)を上限に翌年度の住民税から差し引かれます。

初年度は会社員でも確定申告が必要

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける最初の年分は、勤務先の年末調整では手続きできません。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)では、最初の年分は確定申告書に必要な書類を添えて、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出するとされています。給与所得者が年末調整で控除を受けられるのは2年目以後の年分です。

計算例として、2026年3月に3500万円を借りて新築のZEH水準省エネ住宅に入居し、翌月から35年・金利1%の元利均等で返済すると仮定します。1年目の年末残高は34,371,203円で、その0.7%にあたる240,500円(100円未満切捨て)が、この年に申告する控除額の目安です。ZEH水準省エネ住宅の控除限度額24.5万円を下回るので、計算した額がそのまま控除額になります。実際には、その年の所得税額が上限になります。

3500万円・ZEH水準・2026年3月入居の年ごとの控除額
  1. 2026年240,500円
  2. 2027年234,600円
  3. 2028年228,600円
  4. 2029年222,600円
  5. 2030年216,500円
  6. 2031年210,300円
  7. 2032年204,100円
  8. 2033年197,800円
  9. 2034年191,500円
  10. 2035年185,100円
  11. 2036年178,600円
  12. 2037年172,100円
  13. 2038年165,400円

35年・金利1%・元利均等、特例対象個人に当たらない場合。所得税額による上限は考慮していません。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3500万円・ZEH水準・2026年3月入居の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年34,371,203円240,500円
2027年33,525,439円234,600円
2028年32,671,179円228,600円
2029年31,808,338円222,600円
2030年30,936,828円216,500円
2031年30,056,560円210,300円
2032年29,167,453円204,100円
2033年28,269,414円197,800円
2034年27,362,351円191,500円
2035年26,446,177円185,100円
2036年25,520,799円178,600円
2037年24,586,123円172,100円
2038年23,642,060円165,400円

確定申告までの流れを5つの段階で整理する

  1. 入居する:新築等の日から6か月以内に住み始め、その年の12月31日まで住み続けていることが要件です。
  2. 年末残高等証明書を受け取る:借入先の金融機関等が「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を発行します。
  3. 添付書類をそろえる:登記事項証明書、売買契約書や工事請負契約書の写し、住宅の区分を示す証明書などを集めます(次の章の表)。
  4. 計算明細書と申告書を作る:「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に年末残高や取得対価を記入します。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って入力すると必要な付表や明細書も作成されると案内されています。
  5. 税務署に提出する:国土交通省の減税制度の案内(認定長期優良住宅のページ)では、減税を受けたい年分の確定申告(各年2月中旬〜3月中旬)で書類を税務署に提出するよう案内しています。

給与所得の源泉徴収票は、平成31年4月1日以後は申告書への添付や提示が不要になりましたが、申告書を作るときには必要です。手元に保管しておきましょう。

必要書類の一覧:共通の書類と住宅の区分ごとの書類

国税庁が示す新築等の場合の提出書類を、目的ごとにまとめました。自分に当てはまるものだけを用意します。

新築等の住宅で控除を受ける場合の主な書類(国税庁 No.1211-1 をもとに整理)
書類何を示すためのものか
住宅借入金等特別控除額の計算明細書控除額の計算。連帯債務がある場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要
年末残高等証明書借入金の年末残高。2か所以上から借りている場合はすべての証明書
家屋の登記事項証明書など床面積が50平方メートル以上(一定の場合は40平方メートル以上50平方メートル未満)であること
工事請負契約書・売買契約書の写しなど家屋の取得対価の額
土地の登記事項証明書・売買契約書の写しなど土地の取得のための借入金も控除の対象にする場合の、取得年月日と取得対価
補助金決定通知書など国や地方公共団体から補助金等を受けた場合の金額
贈与税の申告書の写しなど住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合の金額

このほか、住宅の区分に応じた証明書が必要です。たとえばZEH水準省エネ住宅や省エネ基準適合住宅は、建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」や登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写しなどで性能を示します(省エネ基準適合住宅は、2026年1月1日以後の居住なら一定の検査済証の写しも使えます)。登記事項証明書は、計算明細書に不動産番号を書くか写しを添付することで代えられます。「調書方式」に対応した金融機関から借りて適用申請書を出している場合は、一部の書類が異なります。

入居した月によって1年目の控除額が変わる理由

1年目の控除額は、その年の12月31日時点の残高で決まります。同じ借入額でも、年の後半に入居すると年内の返済回数が少ないため、年末残高は大きく残ります。冒頭の例と同じ3500万円・35年・金利1%(月々の返済額98,800円)で、入居月を変えて計算しました。

2026年入居・3500万円・35年・金利1%(特例対象個人に当たらない場合)
入居・借入れの月1年目の年末残高ZEH水準省エネ住宅の控除額省エネ基準適合住宅の控除額
3月34,371,203円240,500円140,000円
7月34,651,250円242,500円140,000円
11月34,930,366円244,500円140,000円

ZEH水準省エネ住宅では、残高×0.7%が限度額24.5万円をわずかに下回るため、入居が遅いほど1年目の控除額が少しだけ大きくなります。省エネ基準適合住宅は限度額14万円で頭打ちになるため、どの月に入居しても140,000円です。差は数千円程度で、入居時期を選ぶ理由になるほどではありませんが、年の途中に入居しても1年目から控除の対象になることは押さえておきましょう。

申告書を出す前に見直したい5つの点

  • 取得対価との比較:控除の基準は年末残高と取得対価の少ない方です。補助金や住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合は、その額を取得対価から差し引きます。
  • 住宅の区分と証明書が一致しているか:ZEH水準なのか省エネ基準適合なのかで控除限度額が変わります。証明書に書かれた等級を確認します。
  • 床面積は登記上の面積で判断:マンションは共用部分を含まない専有部分の面積、共有の住宅は持分を掛けずに建物全体の面積で判断します。
  • 連帯債務やペアローン:連帯債務なら付表が必要です。夫婦それぞれが控除を受ける場合は、各自が確定申告をします。
  • 入居日と年末の居住:取得等の日から6か月以内に住み始め、12月31日まで住み続けていることが要件です。

判断に迷う点は、申告前に所轄の税務署に確認するのが確実です。要件の詳しい説明は入居要件(6か月以内・年末まで居住)や床面積要件の解説も参考にしてください。

2年目以降は年末調整へ。所得税で引ききれない分は住民税から

初年度の確定申告が済むと、給与所得者は2年目以後の年分を年末調整で受けられます。その際に勤務先へ出すのが、税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と年末残高等証明書です。手続きの詳細は2年目以降の年末調整の流れで説明しています。

また、控除額が所得税額より大きい場合、引ききれなかった額は前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円が上限)まで翌年度の個人住民税から差し引かれます。総務省の説明では、この住民税の控除に市区町村への申告は不要です。計算方法は住民税の住宅ローン控除を参照してください。

1年目の控除額を自分の条件で試算する

住宅ローン控除シミュレーションに、借入額・返済期間・金利・住宅の区分・入居した年と月を入れると、1年目から各年の年末残高と控除額を計算できます。源泉徴収票の所得税額を入れると、所得税から控除できる額の目安も表示します。

計算は元利均等・毎月返済・金利一定の返済予定にもとづく試算です。申告する金額は、金融機関が発行する年末残高等証明書の数字を使ってください。控除額の計算方法そのものは住宅ローン控除の計算方法で詳しく説明しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。