諸費用と契約

抵当権設定登記の登録免許税:住宅用の軽減税率と要件

住宅ローンの抵当権設定登記にかかる登録免許税を、国税庁の税額表(令和8年4月1日現在法令等)で確認。住宅用家屋の軽減税率と主な要件、所有権の登記との違いを計算例で整理します。

この記事のポイント

  • 自分が住む住宅の取得資金の抵当権設定は、要件を満たせば税率1,000分の1です。
  • 軽減には床面積50平方メートル以上などの要件と、登記時の市町村等の証明書の添付が必要です。
  • 建物の移転登記は本則1,000分の20、住宅用家屋は1,000分の3で、計算例では25万円以上の差です。
  • 見積書の「登記費用」は、登録免許税と司法書士報酬・実費に分けて確認します。

住宅ローンの抵当権設定は、要件を満たせば税率1,000分の1

国税庁の登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等)では、個人が令和9年3月31日までに住宅用家屋を新築または取得して自分で住む場合、その資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に1,000分の1の軽減税率が設けられています。

計算例として、税率を掛ける金額(課税標準)を仮に3,000万円とすると3万円、4,000万円なら4万円です。ただし、この税額表の該当欄には抵当権設定の課税標準と本則の税率が書かれていないため、何に税率を掛けるかと、軽減が使えない場合の税額は、司法書士や登記所に確認してください。

登録免許税は、登記を申請するときに納める税金です。住宅ローンを使う購入では、建物や土地の所有権の登記と、ローンの担保としての抵当権の設定登記が同じ時期に行われることが多く、見積書では合計で示されがちです。この記事では、抵当権の設定と所有権の登記を分けて、税率と計算の仕方を確認します。

軽減税率を受けるための主な要件と、証明書の注意

税額表の注記では、軽減税率の適用には床面積が50平方メートル以上であること、新築または取得後1年以内の登記であることなど、一定の要件を満たす必要があるとされています。

また、登記の申請にあたってはその家屋の所在する市町村等の証明書を添付する必要があり、登記した後で証明書を提出しても軽減税率は受けられません。国土交通省の案内では、この住宅用家屋証明書は市区町村等で発行され、あらかじめ司法書士等から原本または写しを入手しておく必要があり、制度上再発行はできないとされています。登記を依頼する司法書士と、誰が証明書を取得するかを早めに決めておくと安心です。

住宅購入では、所有権の登記にも登録免許税がかかる

主な登記の本則税率と住宅用家屋などの軽減税率
登記の種類本則の税率軽減税率
建物の所有権の保存1,000分の4住宅用家屋1,000分の1.5(令和9年3月31日まで)
建物の売買による所有権の移転1,000分の20住宅用家屋1,000分の3(令和9年3月31日まで)
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の保存・移転上の各欄と同じ1,000分の1(長期優良住宅の一戸建ての移転は1,000分の2)
土地の売買による所有権の移転1,000分の20令和11年3月31日までの登記は1,000分の15
住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定税額表の該当欄に記載なし1,000分の1(令和9年3月31日まで)

所有権の登記の課税標準となる「不動産の価額」は、固定資産課税台帳に登録された価格がある場合は原則その価格で、ない場合は登記官が認定した価額です。

主な登記の税率(1,000分のいくつか)
  1. 建物の所有権保存(本則)4
  2. 建物の所有権保存(住宅用家屋)1.5
  3. 建物の売買による移転(本則)20
  4. 建物の売買による移転(住宅用家屋)3
  5. 土地の売買による移転(令和11年3月31日まで)15
  6. 住宅取得資金の抵当権設定(軽減)1

値は「1,000分の○」の○。住宅用家屋などの軽減は要件を満たす場合で、期限は表のとおりです。
出典:国税庁:No.7191 登録免許税の税額表

グラフの数値を表で見る
主な登記の税率(1,000分のいくつか)
項目値
建物の所有権保存(本則)4
建物の所有権保存(住宅用家屋)1.5
建物の売買による移転(本則)20
建物の売買による移転(住宅用家屋)3
土地の売買による移転(令和11年3月31日まで)15
住宅取得資金の抵当権設定(軽減)1

計算例:建物1,500万円・土地1,200万円・借入れ3,000万円

新築住宅を購入し、固定資産課税台帳の価格(または認定価額)が建物1,500万円・土地1,200万円、抵当権の課税標準を仮に3,000万円とした例です。端数処理は省いています。

登録免許税の計算例(仮の価額)
登記本則で計算軽減税率で計算
建物の所有権保存(1,500万円)60,000円22,500円(認定住宅なら15,000円)
建物の所有権移転の場合(1,500万円)300,000円45,000円
土地の所有権移転(1,200万円)240,000円180,000円
抵当権の設定(仮に3,000万円)税額表に記載なし30,000円

軽減税率が使えるかどうかで、建物の移転登記では25万円以上の差になる計算です。どの登記が必要になるかは、新築か中古か、売主が誰かなど物件ごとに異なります。合計額は司法書士の見積書で確認してください。

中古住宅・買取再販住宅の場合の移転登記

中古住宅を買う場合、建物は所有権の移転登記になります。住宅用家屋の移転登記の軽減税率1,000分の3は、取得が売買または競落によるものに限られ、令和9年3月31日までの取得が対象です。また、宅地建物取引業者が一定の増改築等を行った住宅用家屋(いわゆる買取再販住宅)を取得した場合は、移転登記の税率が1,000分の1とされています。

建物の価額を仮に800万円とした場合の移転登記
税率計算登録免許税
本則1,000分の20800万円×20÷1,000160,000円
住宅用家屋1,000分の3800万円×3÷1,00024,000円
買取再販住宅1,000分の1800万円×1÷1,0008,000円

中古住宅でも、床面積50平方メートル以上などの要件と、市町村等の証明書の添付が必要な点は同じです。築年数などそのほかの要件は、物件の資料をもとに司法書士へ確認してください。

誰が払う?いつ払う?

【フラット35】のご利用条件では、借入対象の住宅と敷地に住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定し、その設定費用(登録免許税、司法書士報酬など)は利用者の負担とされています。国土交通省の案内では、登録免許税の軽減は法務局で登記のときに手続きをします。

夫婦でペアローンを利用する場合、【フラット35】では2つの融資それぞれに抵当権を設定します。抵当権の登記が2件になると費用も増える可能性があるため、見積書で件数を確認します。仕組みは連帯債務・連帯保証・ペアローンへ。

見積書の「登記費用」を分けて読む

見積書では、登録免許税と司法書士報酬が「登記費用」としてまとめられていることがあります。登録免許税は税率と課税標準で決まり、司法書士報酬は依頼先によって異なります。次の点を分けて確認すると、比較しやすくなります。

  • どの登記(保存・移転・抵当権設定)が含まれているか
  • それぞれの課税標準と、適用した税率(本則か軽減か)
  • 住宅用家屋証明書などの取得費用や代行料が含まれるか
  • 司法書士報酬と実費の内訳

複数の司法書士の見積りを比べる場合、登録免許税の部分は同じ物件・同じ登記なら原則として同じ計算になるはずです。差が出ている場合は、課税標準や適用税率の前提が違うのか、報酬や実費の差なのかを確認すると、見積りの中身を理解しやすくなります。

諸費用の合計を比較に入れる

登録免許税は、借り換えでも新しい抵当権の設定で発生します。借り換えを比べるときは、借り換えの比較の諸費用欄に登記費用を含めた合計を入れてください。新規購入の諸費用の全体は住宅ローンの諸費用一覧、完済後の抹消手続は抵当権抹消の手続きで整理しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。