契約との違い

5年ルール・125%ルールがない住宅ローンで確認すること

5年ルール・125%ルールがない変動金利の住宅ローンでは、金利が上がるとその分だけ返済額が見直されます。3,000万円・35年の計算例で、ルールの有無による返済額の推移、残高、総返済額の違いを比べます。

この記事のポイント

  • PayPay銀行の住宅ローンには5年ルールも125%ルールもなく、金利の上昇幅に応じて返済額が見直されます。
  • 3,000万円・35年・0.6%から毎年0.3ポイント上がる例では、ルールがないほうが総額は523,591円少なくなりました。
  • ルールありの例では5年目まで返済額が変わらず、6年目に19,802円の増加がまとめて来ます。
  • 両ルールは返済額の増加を先送りする仕組みで、総返済額を減らすものではありません。

ルールがない住宅ローンでは、金利の上昇に合わせて返済額が変わる

変動金利・元利均等返済の住宅ローンには、返済額を5年間変えない「5年ルール」と、見直し後の返済額を前回の125%までに抑える「125%ルール」が一般的な仕組みとして説明される一方、これらのルールを設けていない商品もあります。PayPay銀行は、同行の住宅ローンには5年ルールも125%ルールもなく、金利が上昇した場合はその上昇幅に応じて返済額を見直すため、最終返済額へのしわ寄せがないと案内しています。

ルールがないと、金利が上がるたびに引落額が増えます。その代わり、元金の返済が遅れることはありません。計算例(3,000万円・35年・当初0.6%が毎年0.3ポイント上昇)では、ルールがない場合のほうが総返済額は523,591円少なくなりました。どちらの仕組みにも長所と注意点があります。

5年ルール・125%ルールのおさらい

全国銀行協会の解説によると、変動金利の金利は通常半年ごとに見直される一方、元利均等返済の返済額は通常5年ごとに見直され、見直し時の増加は一般にそれまでの返済額の25%増しが上限になります。返済額が変わらない間に金利が上がると、返済額に占める利息の割合が高くなり、元金があまり減らないことがあります。利息が返済額を上回れば、未払利息が生じます。

PayPay銀行の説明でも、両ルールが適用されると5年間は毎月の返済額は変わらないものの元金と利息の内訳が変わり、金利上昇局面では元本の返済ペースが遅くなって総返済額が増え、最後の返済が高額になる可能性があるとされています。両ルールは返済額の急増を先送りする仕組みで、総返済額や金利上昇分の支払いを減らすものではないと明記されています。詳しくは5年ルール・125%ルールの解説を参照してください。

計算例:ルールの有無で返済額の推移を比べる

計算例として、3,000万円・35年(420回)・当初0.6%の変動金利が、毎年0.3ポイントずつ上がって9年目に3.0%に達し、そのまま続くと仮定します。本サイトの変動金利と固定金利の比較で、返済額の見直し方法だけを変えて計算しました。金利の動きは説明用の仮定です。

3,000万円・420回、0.6%から毎年0.3ポイント上昇(上限3.0%)
時期ルールなし(金利が変わるたびに再計算)5年ルール・125%ルールあり
1年目79,209円79,209円
2年目83,181円79,209円
3年目87,161円79,209円
4年目91,139円79,209円
5年目95,107円79,209円
6年目99,058円99,011円
9年目以降110,726円99,011円(10年目まで)
11年目以降110,726円115,474円

ルールなしでは毎年およそ4,000円ずつ返済額が増え、9年目以降は110,726円で一定になります。ルールありでは5年目まで79,209円のままで、6年目に99,011円へ一度に19,802円増えます。この額は79,209円の125%の上限にちょうど当たっています。

3,000万円・35年:毎年+0.3ポイント、ルールなし
3,000万円・35年:毎年+0.3ポイント、ルールなし横軸は経過年数、縦軸は毎月の返済額。総返済額は固定3,327万円、変動シナリオ4,481万円。0万3万6万9万12万0年18年35年
  • 金利0.6%のまま
  • 1年ごとに+0.3(上限3%)

0.6%から毎年0.3ポイント上がり3.0%で止まると仮定。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,000万円・35年:毎年+0.3ポイント、ルールなし
金利0.6%のまま1年ごとに+0.3(上限3%)
1年目79,209円79,209円
5年目79,209円95,107円
10年目79,209円110,726円
15年目79,209円110,726円
20年目79,209円110,726円
25年目79,209円110,726円
30年目79,209円110,726円
35年目79,209円110,726円
総返済額33,267,389円44,811,428円
3,000万円・35年:毎年+0.3ポイント、5年ルールあり
3,000万円・35年:毎年+0.3ポイント、5年ルールあり横軸は経過年数、縦軸は毎月の返済額。総返済額は固定3,327万円、変動シナリオ4,534万円。0万3万6万9万12万0年18年35年
  • 金利0.6%のまま
  • 1年ごとに+0.3(上限3%)

上の図と同じ金利の動きで、5年ルール・125%ルールで返済額を見直した場合。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
3,000万円・35年:毎年+0.3ポイント、5年ルールあり
金利0.6%のまま1年ごとに+0.3(上限3%)
1年目79,209円79,209円
5年目79,209円79,209円
10年目79,209円99,011円
15年目79,209円115,474円
20年目79,209円115,474円
25年目79,209円115,474円
30年目79,209円115,474円
35年目79,209円115,474円
総返済額33,267,389円45,335,019円

残高と総返済額はどう違う?

5年間(60回)返済したあとの残高は、ルールなしが26,440,695円、ルールありが26,929,051円で、ルールありのほうが488,356円多く残っています。返済額が据え置かれている間、金利の上昇分が利息に回り、元金の返済が遅れたためです。

その結果、11年目以降の返済額はルールありのほうが高い115,474円になり、35年間の総返済額はルールなしが44,811,428円、ルールありが45,335,019円でした。この例では最終回にまとめて払う額は生じていませんが、金利の上がり方によっては、125%の上限で返済額が抑えられた分や未払利息が最後に残る可能性があります(未払利息の解説)。

ルールがないことの注意点:家計は毎回の変化に対応が必要

ルールがない住宅ローンでは、金利が上がるたびに返済額が増えます。上の例では毎年4,000円前後の増加が8回続き、9年目には当初より31,517円多い返済額になります。家計としては、変化に毎回対応する準備が必要です。

一方、ルールがある場合は5年間の引落額が変わらない安心感がある反面、6年目に約2万円の増加がまとめてやってきます。どちらが家計に合うかは、毎月の小さな変化に対応しやすいか、それとも一定期間の予定が立つほうがよいかによって違います。いずれにしても、金利の上昇分を払うこと自体は避けられない点を押さえておきましょう。

契約で確認したいこと

  • 自分の住宅ローンに5年ルール・125%ルールがあるか。三菱UFJ銀行は、変動金利・元利均等返済では10月1日を基準とした5年間は返済額が変わらないとし、元金均等返済にはこれらのルールがないと案内しています。
  • ルールがない場合、金利の見直しから返済額への反映までの時期
  • ルールがある場合、未払利息や最終回に残った金額の精算方法(全国銀行協会は金融機関によって異なるとしています)
  • 返済方式(元利均等・元金均等)を確認できる書類

全国銀行協会の解説にあるように、元金均等返済では返済額は通常金利の変動とともに見直されます。同じ金融機関でも商品や返済方式によって扱いが違うため、商品名と返済方式が分かる書面を手元に置いて確認してください。見直しの時期については、変動金利の見直し時期の解説でも整理しています。

ルールがないローンへの借り換えは、ルールだけで比べない

5年ルールのない住宅ローンへの借り換えを考える場合も、比べるべきなのはルールの有無だけではありません。金利、優遇幅が続く期間、手数料などの諸費用、団体信用生命保険の内容など、ほかの条件の違いのほうが総額への影響が大きいこともあります。

上の例でルールの有無による総額の差は約52万円でしたが、借り換えの諸費用や金利の差はそれを上回ることがあります。条件をすべてそろえたうえで、総額と毎月の返済額の両方を比べてください。借り換えの比較は借り換えシミュレーションで、諸費用を含めて行えます。

ルールの有無で自分のローンを比べる

変動金利と固定金利の比較シミュレーションに、借入額(ローン残高)、返済期間(残り期間)、変動金利の当初金利、上昇幅・間隔・上限を入れ、「返済額の見直し方法」を切り替えて2回計算すると、ルールの有無による返済額の推移と総額の差を比べられます。ルールありの場合は、未払利息の最大額と最終回の上乗せ額も表示されます。

今すぐ返済額が再計算される場合の増加額は、金利上昇シミュレーションでも確認できます。いずれも一般的な仕組みに沿った試算で、実際の返済額は金融機関の返済予定表で確認してください。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。