税と控除

住宅ローン控除はいつ戻る?所得税と住民税の時期

住宅ローン控除は、初年度は確定申告、2年目以降は年末調整で所得税から、引ききれない分は翌年度の住民税から差し引かれます。2026年5月入居の例で、いつ・いくら反映されるかを時系列で確認します。

この記事のポイント

  • 1年目の控除は翌年の確定申告で、2年目以降は給与所得者ならその年の年末調整で所得税から差し引かれます。
  • 所得税で引ききれない額は、翌年度の住民税が減る形で反映され、市区町村への申告は不要です。
  • 2026年5月入居の例では、最初の控除が反映されるのは2027年2月中旬〜3月中旬の確定申告のときです。
  • 3000万円の省エネ基準適合住宅の例では、13年間で所得税から1,170,000円、住民税から650,000円です。

所得税は申告や年末調整のとき、住民税は翌年度に反映

住宅ローン控除は、ローンを返し始めてすぐにお金が戻る仕組みではありません。控除額はその年の12月31日の残高で決まり、その年分の所得税から差し引かれます。反映のタイミングは次の3つに分かれます。

  • 1年目:翌年に確定申告をして、所得税から控除されます。源泉徴収ですでに納めた所得税が控除後の税額より多ければ、その差が還付の対象です。
  • 2年目以降(給与所得者):その年の年末調整で、勤務先を通じて所得税から控除されます。
  • 所得税で引ききれない額:翌年度の個人住民税から差し引かれます(総務省)。

計算例として、2026年5月に3000万円を借りて新築の省エネ基準適合住宅に入居し、35年・金利1%(月々84,686円)で返済、所得税額が年9万円、課税総所得金額等が240万円の人なら、1年目の控除額140,000円のうち90,000円が所得税から、残る50,000円が翌年度の住民税から差し引かれます。

入居から反映までを時系列で見る

上の例を時系列に並べると次のようになります。確定申告の時期は国土交通省の減税制度の案内(各年2月中旬〜3月中旬)によります。

2026年5月入居・省エネ基準適合住宅・3000万円・35年・金利1%、所得税額年9万円の場合
時期起きること金額の例
2026年5月借入れ・入居。翌月から返済開始月々84,686円
2026年12月31日1年目の年末残高が確定29,581,148円(控除額140,000円)
2027年2月中旬〜3月中旬2026年分の確定申告所得税から90,000円
2027年度引ききれない額を住民税から控除50,000円
2027年の年末調整2027年分を勤務先で控除所得税から90,000円
2028年度2027年分の残りを住民税から控除50,000円

確定申告で生じた還付金がいつ振り込まれるかは、申告の方法や税務署の処理によって異なります。目安は国税庁の案内で確認してください。

住民税は「戻る」のではなく、翌年度の税額が減る

所得税で控除しきれなかった額は、住民税として現金が戻るのではなく、翌年度に納める住民税の額が少なくなる形で反映されます。総務省の説明によると、上限は前年分の所得税の課税総所得金額等の5%で、97,500円が限度です(居住年が2022年以降の場合)。上の例では課税総所得金額等240万円の5%が12万円となり、上限の97,500円が適用されるため、残り50,000円は全額住民税から控除されます。

この住民税の控除を受けるために市区町村へ申告する必要はありません。確定申告や年末調整で税務署等に申告した情報を市区町村が把握し、控除する仕組みになっています。翌年度の住民税の通知を受け取ったら、控除が反映されているかを確かめましょう。

1年目は控除を当てにせず、返済の資金を用意する

時系列で見ると分かるとおり、入居した年に支払うローン返済や諸費用に、その年の控除は間に合いません。2026年5月入居の例では、最初の控除が反映されるのは翌年の確定申告のときです。住民税側の控除はさらにその後の年度になります。

控除額を月割りにして返済額から差し引いて考える方法もありますが、上の例の控除額140,000円は月に直すと約11,667円で、実際にはまとまった時期に反映されます。家計の計画では、まず控除なしで月々の返済予算が成り立つかを確認し、控除は後から反映されるものとして扱うと安心です。入居時には諸費用などの現金も必要になるため、控除を見込まずに資金を準備しておきましょう。

13年間でみると、所得税と住民税の内訳はどうなる?

同じ例で13年間を通して計算すると、控除額は毎年140,000円(年末残高×0.7%が13年目まで限度額14万円を上回るため)、合計1,820,000円です。所得税額が毎年9万円のままなら、所得税から控除されるのは合計1,170,000円、住民税から控除されるのは合計650,000円になります。

2026年5月入居・省エネ基準適合住宅・3000万円・35年・金利1%、所得税額年9万円・課税総所得金額等240万円と仮定
項目1年あたり13年間の合計
控除額(年末残高×0.7%と限度額の小さい方)140,000円1,820,000円
所得税から控除90,000円1,170,000円
翌年度の住民税から控除50,000円650,000円

この例では住民税の上限97,500円に収まるため、控除額を全額使い切れます。所得税額が少ない人ほど住民税側に回る割合が大きくなり、上限を超えた分は控除されません。所得税額は昇給や家族構成の変化で毎年変わるため、数年ごとに見直して試算するとよいでしょう。

省エネ基準適合・3000万円の年ごとの控除額
  1. 2026年140,000円
  2. 2027年140,000円
  3. 2028年140,000円
  4. 2029年140,000円
  5. 2030年140,000円
  6. 2031年140,000円
  7. 2032年140,000円
  8. 2033年140,000円
  9. 2034年140,000円
  10. 2035年140,000円
  11. 2036年140,000円
  12. 2037年140,000円
  13. 2038年140,000円

2026年5月入居・新築・35年・金利1%・元利均等。所得税額・住民税の上限は考慮していません。
元利均等・毎月返済で本サイトの計算式により算出(金利は計算例で、市場金利や予測ではありません)。

グラフの数値を表で見る
省エネ基準適合・3000万円の年ごとの控除額
年年末残高控除額
2026年29,581,148円140,000円
2027年28,857,409円140,000円
2028年28,126,401円140,000円
2029年27,388,049円140,000円
2030年26,642,278円140,000円
2031年25,889,016円140,000円
2032年25,128,188円140,000円
2033年24,359,716円140,000円
2034年23,583,526円140,000円
2035年22,799,536円140,000円
2036年22,007,671円140,000円
2037年21,207,851円140,000円
2038年20,399,996円140,000円

思ったより戻らないときに確かめること

  • 所得税額が上限:控除額が大きくても、その年の所得税額を超えては控除されません。
  • 住民税にも上限:引ききれない額のうち、課税総所得金額等の5%(97,500円まで)を超える部分は控除されません。
  • 年末残高と取得対価:補助金や住宅取得等資金の贈与の特例を受けると、取得対価から差し引かれ、控除の基準が小さくなる場合があります。
  • 住宅の区分:証明書がないと、控除限度額の低い区分や対象外として扱われることがあります。
  • 要件を満たさない年:年末に住んでいない年や、合計所得金額が上限を超える年は控除を受けられません。

年ごとの控除額と所得税額・住民税額の関係は、住民税の住宅ローン控除の計算例も参考にしてください。

繰上返済や借り換えをした年は、その年末の残高で反映される

控除額は毎年12月31日の残高で決まるため、年の途中で繰上返済をすると、その年の年末残高が下がり、限度額を下回っている年はその年分の控除額が小さくなります。反映されるのは、やはりその年分の確定申告や年末調整のとき、住民税は翌年度です。

借り換えた場合も、新しいローンが10年以上の償還期間であるなどの要件を満たせば控除は続きます。国税庁 No.1233 によると、借換え直前の残高より新しい借入額が多いときは、新しいローンの年末残高に「借換え直前の残高÷新しい借入額」を掛けた額が対象です。控除を受けられる年数は居住した年から数えるため、借り換えで延びることはありません。具体的な計算は借り換え後の住宅ローン控除で説明しています。

いつ・いくら反映されるかを試算する

住宅ローン控除シミュレーションで、借入額・返済期間・金利・住宅の区分・入居年月を入れると、暦年ごとの年末残高と控除額が表示されます。「取得対価・所得税額・住民税の計算も入れる」を開き、毎年の所得税額と課税総所得金額等を入れると、所得税から控除される額と翌年度の住民税から控除される額が分かれて表示されます。

初年度の手続きは初年度の確定申告、2年目以降は年末調整の流れで詳しく説明しています。

参照した情報

本記事は一般的な仕組みと計算の読み方を説明します。契約の条件は金融機関の書類で確認してください。